時計を売ろうと思ったとき、多くの人がまず考えるのが「きれいにしてから出したほうが高いのではないか」ということです。
結論を先に書きます。磨かない、直さない、オーバーホールしない。そのまま持っていくのが正解です。
そのままで問題ないもの
日常使用の小傷
腕時計は着けていれば必ず傷がつきます。ケースのヘアラインスクラッチ、ブレスの擦れ。こうした傷は研磨で目立たなくなるレベルなので、査定への影響は小さいとされています。
そして研磨は、業者側でやるほうが安い。売り手が自分で手配すると、上乗せされる額より費用のほうが高くつきます。
多少の使用感
ロレックスをはじめとする人気ブランドは中古需要が厚く、多少の使用感があっても問題なく買い取られます。「きれいでないと売れない」というのは、実態とずれた心配です。
純正箱がない
箱だけの欠品なら、大幅な減額にはなりにくいとされています。引っ越しで捨ててしまった、という話はよく聞きますが、それだけで諦める理由にはなりません。
オーバーホール未実施
ここがいちばん誤解されています。
売る前にオーバーホールをすると、査定への上乗せ額より修理費のほうが高くつくケースがほとんどです。数万円から十数万円かけて整備しても、買取価格がその分上がるわけではありません。
業者は自社で整備できるので、そのコストを織り込んで買い取ります。売り手が先に払う必要はない。
影響が大きいもの
一方で、探しておいたほうがいいものはあります。
保証書
箱より影響が大きい項目です。ブランドや型番によりますが、数万円から、場合によっては数十万円の差が出ます。
引き出しの奥、購入時の書類一式、購入店から送られてきた封筒。心当たりを一度探す価値は十分にあります。
余りコマ・交換用ベルト
ブレスレットを詰めたときに外したコマです。これは実用価値が高く、査定に効きます。手首が細い人ほど多く外しているはずなので、探してみてください。
交換用のレザーベルトやラバーベルトも同様です。
深い傷、へこみ、風防のひび
修理が必要になるレベルの損傷は、さすがに影響します。ただしこれも「だから売れない」ではなく「その分が引かれる」という話です。
リダン、社外パーツ
文字盤の再仕上げ(リダン)や、純正でない部品への交換は、価値を大きく毀損します。とくにヴィンテージでは致命的になることがあります。良かれと思って手を入れた結果、価値を下げてしまうのがこのパターンです。
つまり
やるべきことは1つだけです。保証書と余りコマを探す。
それ以外は何もしなくていい。磨かなくていいし、直さなくていいし、オーバーホールにも出さなくていい。
手を入れれば高く売れるという前提で動くと、費用をかけたぶんだけ損をします。時計は、そのまま持っていくのが最も合理的です。
※ 本記事は買取事業者が公表している情報(GINZA RASIN、ウォッチニアン、なんぼや、玉光堂ほか)に基づきます。事業者の自社発信であることを踏まえ、実際の査定額は個体ごとに異なります。 ※ 金額はすべて参考です。確定額は実物確認のうえ決まります。